平成30年10月23日(火)に新宿区内の四ツ谷区民ホールにおいて安全大会を開催しました。
新宿監督署の本間署長から、安全大会に寄せるメッセージ「安全神話をつくってはならない」との力強い来賓のご挨拶を頂きました。
このほか、「切れこすれ災害を防ぐ技術」の上映、フルハーネスについての解説、建設業労働災害防止大会での論文発表報告に加えて、ブラック川柳及び改善事例の優秀作に対しての表彰などを行いました。
開会の挨拶をする石野会長
■来賓挨拶 新宿労働基準監督署長 本間裕之様
安全大会に寄せたメッセージ
「安全神話」をつくってはならない
安全に携わる者にとって、忘れることができない事故、7年前の東日本大震災に関連して起きた「福島第一原発」の事故を思い返していただきたいと思います。あの原発事故が起きたあと、そこでは、安全に対する基本的な考え方や安全の理念について、誰もが改めて問い直す機会となっていました。当時、繰り返し話題となっていたことを私からの安全大会のメッセージとしてお伝えしたいと思います。
それは、「安全神話をつくってはならない」ということです。
「安全神話」とは何か。「安全神話」とは「あらゆる安全対策は完璧であり、事故など起きるはずがない。絶対に安全だという信頼感」を指しています。しかし、「神話」という言葉が示すとおり、その意味するところには言外に「根拠のない思い込みである。錯覚にすぎない。」という含みがあります。つまり、確実な証拠や十分な根拠がないにもかかわらず、無条件に、絶対に安全だと信じきることが「安全神話」となるわけです。
これとは反対に、「リスクアセスメント」という考え方は、あくまでも危険があることを前提に危険性にできるだけ焦点をあてながら、少しでもリスクを減らそうとするもので、「安全神話」とは対極の立場にある考え方と言えます。私たち安全に関わるものは、「安全神話」をつくってはならず、「安全文化」をつくらなければならないと思っています。安全文化」とは、言い換えれば、「危険に対する感性、「危険に対する感受性と安全に関する価値観をみんなが共有すること」です。つまり「誰もが皆、安全について共通の価値観を持ち」、「小さな危険の芽を摘み取ろうとする気持ちを全員が共有すること」です。
私たちが考える安全対策のなかに、万が一にも、「安全神話」と言われるような、安全対策への過信があったり、あるいは、完璧な安全を求めるあまりに、小さなリスクを見逃したり。見過ごしたり、さらには、事故を隠すような体質があっては決して「どんなところにも完璧な安全などあり得ない」。このことは、現場に関わるものであれば、誰もが日々実感していることです。だからこそ、小さな芽を感じ取り、その対策を取ることが大切であり、「日常の安全管理の小さな積み重ねに大きな意味がある」と感じています。
やや言葉足らずと承知の上で、このようなお話を申し上げたのは、私が10年ほど前に青森県で勤務していた時に、安全講話の話題としたことがあったからです。
青森県にも多くの原子力関連施設があり、そこでは立派な作業計画や膨大な作業マニュアルが整備され、さらに、日々新たに、山のような点検記録の書類が作られていました。ただ、こうした作業計画に書かれた立派な安全対策が、本当に活かされるために必要なことは、事務的に書類を整備することではありません。現場で働く作業員の一人ひとりが。日々、現場の危険と向き合っていることを自覚し、安全な作業手順を守る気持ちを忘れず、どんな小さなことでも、リスクを減らすために、実際の行動に結びつけなければ何の意味もありません。それがなければ、書類で作られた立派な安全対策は何の役にも立たず、結局は「安全神話」をつくり上げることになるでしょう。
「安全神話は書類の山の中にあり、安全文化は一人ひとりの心の中に育つもの」だと思っています。 一人ひとりが心から安全を願い、大切に思い、身の回りにある小さな危険の芽を摘み取るために、小さなことでも一声かける、そして行動する。そんなことから本当に意味のある安全活動が生まれ、一人ひとりの心の中に「安全文化」を育てていくことになるのではないでしょうか。
■安全映像教材「切れこすれ災害を防ぐ技術」 上映・解説
講師:教材開発部会長 加賀谷 敏信
■建災防全国大会論文発表報告「ヒューマンエラーの〈まみむめも〉」
講師:教材開発部会 辻 俊昭
■建災防全国大会論文報告&じゅうたく小町部会活動報告
講師:積水ハウス㈱ 市野夏穂
■改善事例大賞の発表と表彰式 ★フルハーネス法制化について
講師:大江 任
■安全標語&ブラック川柳大賞の発表と表彰式
講師:安全パトロール部会長 塚元 信晴